新しい桐のインテリア

 

キッチン&テーブルウェア

有史以前から続く桐と日本人との長いつきあいのなかで、私たちが最も多く桐を活用してきたのは保存収納の場でした。かつては武将たちが鎧や刀を収め、江戸時代には庶民が着物や貴重品をしまい、現代では美術品や骨董品の保管、高級な食器・食品の外箱として重宝がられるなど、時代と共にその用途は広がっていきました。
 しかし、桐は裏方でいることが圧倒的に多く、さながら縁の下の力持ちといったところ。持ち前の優美な木肌や温かな手ざわりを楽しむために、新しい発想で活用の幅をもっと広げられないものでしょうか。

たとえば、日常的に保存収納するものが多いキッチンではどうでしょう。
 桐箱は密閉性が高く、湿気や虫を防ぐため、昔から米櫃に用いた例があります。その延長線で考えると、現代ならパンやパスタ、乾麺などの保存収納に応用できそうです。調温効果もありますから、じゃがいもや玉ねぎ、人参などの根菜類にも便利でしょう。常温保存だと傷みが早く、冷蔵庫に入れるとかさばってしまう根菜も、桐製の保存庫にしまえば見た目も美しく、開放的なキッチンにも合いそうです。湿気を嫌うお菓子や焼き海苔のストックにも使えますね。戸棚にしまわず、あえて見えるところに置いて、桐の木肌を目で楽しんでもよいでしょう。

思い切って、テーブルウェアとして桐を使ってみるのはどうでしょうか。
 米櫃よりもっとサイズを小さくして、袋を空けたお菓子の保存用に、密閉できる蓋付きのお菓子箱にしてみては? ティータイムに箱ごとテーブルに出して、やさしい木の風合いを楽しめば、心もほっと和みます。卓上で使うスパイスボトルにも応用できるのでは? 塩・胡椒だけでなく、唐辛子や胡麻といった和のスパイス入れとしても、素敵な演出ができそうです。
 収納や容器から離れて、食器や調理器具としても活用の幅を広げられるかもしれません。耐水性・抗菌性があり、よく乾くので、まな板としても有効です。お膳やトレーにしても、軽くて使いやすいでしょう。

毎日の食卓で桐が楽しめるようになれば、人と桐はもっと身近な関係になっていくことでしょう。食と共に桐を楽しむ――。そんな新鮮な発想が、桐文化の未来を切り拓いていくに違いありません。

 

インテリア家具

家具に桐材を用いるのは、世界でも日本だけだといわれています。桐の家具といえば、桐箪笥が有名ですが、その優れた材質から、用途の可能性が広がりつつあります。

たとえば、ダイニングのテーブルや椅子。木目が美しくて白い木肌は、五感を刺激して美味しい食卓を演出してくれるはず。軽軟な材質ですから、テーブルに仕立てれば食器を置く際も冷たい音を立てず、椅子にすれば床にあたる脚の音も軽やかです。
 その軽さは、力のない子どもや高齢者でも扱いやすいバリアフリー素材でもあります。掃除のときに動かす負担も減りますから、主婦にもやさしく、家事もはかどります。
 そのやわらかさは、万が一、転んだりぶつけたりしても、大きなケガになりにくいので安心です。ペットのいるご家庭にもおすすめできます。
 何よりも、家具は肌によくふれるもの。手ざわりのよさが重要な要素となります。さらっとしていて温もりを感じるやさしい触感は、軽軟で、熱伝導率が低く、調湿効果に優れた桐ならでは。たとえば椅子の座面に使えば、クッション性に富んだ桐材がしっくりと体に馴染み、体をやさしく受け止めてくれるでしょう。
 強度を要する脚やフレームには硬質材を用い、人がふれる部分に桐を使う――といったハイブリッドなインテリアも考えられます。桐と共に複数の木材を組み合わせることで、木によって異なる色や木目、手ざわりが楽しめるでしょう。

無垢の素材感を残したシンプルなデザインなら、和洋どちらのシーンにも調和するに違いありません。北欧家具さながらに、洋の空間で白木の美しさをシンプルに味わうのも魅力的である一方、畳を敷いた和の空間で、レトロモダンな使い方をするのも一興です。昔ながらの座の暮らしにも注目が集まっていますから、懐かしいちゃぶ台のように、人が集まる中心に置けば、語らいの輪に華を添えてくれるかもしれません。
 実用性を考えれば、ベビー用品や子ども用の家具にも適しています。高齢者の介護や医療の現場をサポートする家具にも、応用していけるかもしれません。

桐のインテリアは、家族みんなにやさしい家具。癒しのマイホームに、心理的効果と実用性を兼ね備えた「桐の家具」という選択肢を、新たに加えてみてはいかがでしょう。

 

建 材

住まいのなかで人が肌でふれるものは、家具だけではありません。現代の住宅はほとんどがフローリング。その材に桐を用いる人が増えています。
 人気急上昇の裏側には、素足で過ごすことが多い日本人の生活スタイルが大きく関係しています。桐のフローリングはやわらかくてクッション性に富むことから、足腰への負担が少なく、肌ざわりがやさしいのが特長です。他の国産材に比べて熱伝導率が最も低いため、冬も冷たさを感じません。調湿性・耐水性があるので、梅雨の季節もべとつかず、湿気の多い夏もさらさらしています。つまり、一年を通して、桐は素足に心地よい素材なのです。

桐材は滑りにくいという性質もあり、転ぶ恐れのある幼児や高齢者にも安心です。車椅子で生活されている方にも、おすすめできます。たとえ転んでもケガをしにくいことから、実際に福祉施設などでも、よく使われています。
 また、桐は一度暖めたり、冷やしたりすれば、長時間その環境を維持するので、床暖房やエアコンの稼働も少なくて済み、省エネにもなります。エネルギーの使用量が減れば、温室効果ガスの発生も最小限に抑えることができて、エコロジカル。住む人だけでなく、地球にもやさしいのです。

軽い素材は、建具としても有効です。無垢材の扉はどうしても重くなりがちですが、桐を使えば軽量化でき、小さな力でも開閉が可能です。また、桐材は多孔質で空気を多く含むため、断熱性にも優れています。調湿作用もあるので、結露対策としても効果を発揮。燃えにくいため、万が一、火事が起きても火が回るのに時間がかかります。
 こうした特性は、フローリングや建具だけでなく、壁材や天井材にも活かすことができます。桐を賢く使うことで、私たちの住まいはもっと快適で安心・安全な理想の住空間に生まれ変わるのです。

やわらかい材には、傷つきやすいという欠点もありますが、桐は復元力にも優れた木です。傷ついた部分を水で濡らし、スチームアイロンをあてれば、多少のキズなら元通りにすることができます。たとえキズが残ったとしても、それは家の歴史、家族の歴史を刻むもの。思い出のしるしでもあります。
 同様に、経年変化で色が変わるのも桐の魅力です。これは桐がタンニンを含むためですが、タンニンは腐食やシロアリから桐がみずからの身を守るためのもの。そうした桐の性質を理解すれば、変色も味わいの一つとして楽しめるのではないでしょうか。

軽軟な桐材は、建築上、強度が求められる柱や梁には使えません。しかし、桐には建材として必要とされる数多くの特性が備わっています。自然素材としての味わいを楽しみながら、その豊かな機能性にも目を向け、これからの日本の住まいづくりに積極的に取り入れていきたい木材です。

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